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hardware review of home theater and self-made devices

tc electronic Digital Konnekt x32 (PCオーディオ Part1)

更新情報 2010.05.11追記:PCオーディオpart2を公開しました

UDT2010: part3 (Lynx AES16e-SRC) この記事はLynx AES16e-SRCの紹介記事ですが、PCオーディオ part2として掲載しています。

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tc electronic はスタジオレコーディングや放送関連などのプロオーディオ機器に留まらずチップなども開発するデンマークに拠点を置くメーカーです。TC group(米)にはTannoy, dynaudio acoustics, LINNなどが含まれます。その製品は信頼性が高くまた洗練された美しいデザインが特徴です。対照的にプロオーディの雄、ハーマングループはPA色が強く男性的な印象です。

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シアターシステムとPC音源との接点とすべく、以前よりデジタルパッチベイとして気になっていたDigital Konnekt x32を購入しました。自作HTPCでfirewireインターフェースとしても試してみましたが、とても高品質です。

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INDEX

1. 機能と仕様

1-1.デジタルパッチベイとフォーマットコンバータ
1-2.ワードクロック入出力
1-3.高品質なFireWire オーディオインターフェース

2.コントロールソフトウエア
3.PCオーディオとしてのFireWireオーディオインターフェース
4.使用感、音質など

1. 機能と仕様

 

1-1.デジタルパッチベイとフォーマットコンバータ

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入出力が豊富です。 デジタル信号を自由にアサインできます。

入力はAES4系統8ch, 同軸SPDIF4系統8ch, TOS3系統6ch, ADAT8ch, FireWire16chで、ほぼ入力と同数の出力chを持っています。フォーマットを超えていずれの入力もAES,SPDIF, TOS, ADAT, Firewire, に出力できます。いわゆるデジタル信号のマトリックススイッチャーです。サンプリングレートコンバーターが4系統適用できます。

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AESのブロックです。サンプルレートを変更する場合、ここで該当チャンネルのSRCボタンを押します。

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AESの入出力端子です。ここだけでも4×4のAESマトリックススイッチャーとして機能します。シアターシステムは現在11chですが、その中のフロントRLを別のAESラインと切り替えることによって2chオーディオとして機能させる事ができます。PCオーディオ(Lynx AES16eSRC)やCDプレーヤー(DENON DN-C640)のAES出力RLと切り替える用途に使っています。

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ADAT,TOSとfirewireのブロックです。たとえばfirewireの1/2chをAES1/2chに変換出力したい場合、右のブロックで1/2,1-2ボタンを押します。それぞれのブロックの右についているmonボタンは、ヘッドホンでモニターするときや、リアパネルについているバランスアナログ端子からモニターするときに使います。

前面パネルでほとんど全ての操作が可能で、FireWireのルーティング以外はスタンドアローンで動作します。一見わかりやすそうに見えるボタン類です。入力を水平に追って、該当の出力端子ボタンを縦に追って押すとそこから出力される構造ですが、慣れるまで最初は混乱します。

たとえば携帯プレーヤーの光や同軸デジタルをDigital Konnektx32に接続すると、AESに変換してシアターシステム(JBL ScreenArray 3632T)で出力できます。

1-2.ワードクロック入出力

マスタークロックの設定です。firewire, adat,AES,SPDIFのスレーブになることができます。もちろん内部クロック(INT)で他の機器をスレーブにもできます。WCR inを押すと外部クロックに自動追従します。下の写真は実際に外部クロック96kHzでロックしている様子です。

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AESで192kHzを入力すると、強制的にdual wire AESになり、該当ボタンが点灯します。したがってこの場合出力は96kHzが上限です。

シーンリコール機能はとても便利で、複雑な設定をしていてもすぐに呼び出せます。右端のmonitorはヘッドフォンとそのボリュームです。

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1-3.高品質なFireWire オーディオインターフェース

これは付属品のように考えていましたが、RME Firefaceなどとは違いとても高品質で驚きました。いまやデジタルスイッチャーと同様に楽しんでいます。通常のUSBやFireWireオーディオインターフェースはDACを搭載し、アナログ出力するのが一般的ですが、Digital Konnektx32は、DACを積んでいません。FireWireを他のフォーマット、AESや同軸、光に変換するというものです。むしろFireWire フォーマットコンバーターと言っていいかもしれません。AESに変換し、シアターシステムの固定DACを使うことになるので、音が良く感じるのは当然かもしれません。

 2.コントロールソフトウエア

PCとfirewire接続するとコントロールソフト”TC NEAR”で制御できます。インストーラーは同社のkonnektシリーズに共通しているもので、下の画面で該当機種を選択します。Win7 64bitに対応しています。

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クロックの設定やファームのアップデートなどが簡単に行える機能が付いています。レコーディングで使うProToolsインテグレーターが主な機能です。1394ドライバも同時にインストールされるので、firewire インターフェースを使うにはこれが必要です。Firewireはチャンネル数が多く、フロントパネルでは限界があり、このソフトウエアで詳細なルーティングを行います。Blu-rayマルチチャンネルの設定の際はこのソフトウエアが必要です。

3.PCオーディオとしてのFireWireインターフェース

 自作HTPCでセットアップし、ホームシアターシステムの一部を使ってオーディオインターフェースとして機能させてみました。PCからのfirewire dataをDigital Konnekt x32でAESに変換してメインシステムに接続しています。以下は2chステレオが中心です。ちなみにfirewireインターフェースではblu-rayディスクでも、PowerDVDなどのソフトウエアデコードを利用すれば、8chまでならTrueHDなどのHDオーディオマルチチャンネルをデジタル出力する事ができます。

自作HTPCの仕様

ケース:自作アルミケース→PCケースの自作(2Uラックマウント型HTPC)
パーツの構成:マザーはASUP7H55D-EVO→その他詳細はClarkdale for HTPC (hardware setting)
                          FireWire:VIA 1394 OHCI Compliant Host Controller(オンボード)

再生ソフトウエア: foobar2000 v1.0.2.0 ( WASAPI,ASIO),  WMP

音源:2L-Nordic Sound;  Test Bench HD audio files (StereoWAV.  FLAC.  24bit 96kHz)

オーディオ環境:

フルデジタル。マルチアンプ。ソース側の出力レベルはフル。音圧レベルはethernet経由で、HiQnet System Architect上のAMCRON CTsシリーズのマスターでコントロール。 
以下は今回使用した機材の該当記事へのリンク
dbx DriveRack4800 Lynx Studio AURORA16Rubidium1, Rubidium2, Mutec iCLOCK, AMCRON CTs3000, JBL3632-T,

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下の写真は実際にデジタル処理部が動作している様子。
下から2段目のDriveRack4800の中央のInput Headroom LEDは左右チャンネルともに0から-3dB(オレンジ)近くに張り付いて、最適の入力レベルです。その右のLEDバー、周波数分割されたLR計6つの出力レベルは-6から-18dBが平均。DAコンバーターAURORA16のレベルLEDも綺麗にそろって適正レベルで点灯しています。デジタル処理部は機器のheadroomをうまく使いながら、実際の音圧はパワーアンプ側のインプットレベルで調整すると音質が向上します。ここではパワーアンプのインプットが-30dB, 視聴位置での音圧はPhonic PAA2で計測し80dB程度。

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PC にTC NEARをインストールし、firewire出力するための設定です。

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 foobarでWASAPI経由で再生している様子です。ソースはNordic Sound (独)のネットでダウンロードできるマスタークオリティーのテスト音源です。テスト音源とはいえ1時間ほど高音質なクラシックが堪能できます。写真のスペアナではパイプオルガンの低音の鍵盤一つ一つが山として判別でき、再生音としては風圧のような超低域です。最近ダウンロードできる音源が減ったようです。他にもEAC(Exact Audio Copy)では、driveによらないCDからの正確なWAVのコピーができます。

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4.使用感、音質など

この機器を通すことで音質の変化などは感じられません。特にfirewireオーディオインターフェースとしては、良質のAES対応DACが別にあればそれを生かす事ができます。動作はきわめて安定しています。今回はマスタークロックの精度が高いこともあり、いわゆるピュアオーディオとしては非常に高いパフォーマンスでした。

デジタルパッチベイもフォーマットコンバーターも使いやすくとても便利です。シアターシステムと2ch PC オーディオを簡単に切り替えることができます。切り替え時のノイズもありません。ヘッドホンとアナログバランスモニター出力が付いていますが、これは音が出ているかどうか確認するもので、音質はそれなりです。クロックの設定が重要で、ソースと合わないとロックしないのは他のデジタル機器と同じです。

こういった製品は他に例がありません。単体フォーマットコンバータや単体デジタルパッチベイは珍しくありませんが、桁が1つ違う世界です。更にfirewireまで受け付けます。位置的にはコンシューマーとプロオーディオの中間で、デジタル機器の揃った小規模スタジオなどに向いています。いずれにせよDigital Konnekt x32はコストパフォーマンスの高い製品です。

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この記事は2010-05-11に更新しています。初稿に加えた重要な変更箇所は赤で記載。

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