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hardware review of home theater and self-made devices

iCLOCK : Rubidium Redundant Reference Audio Maser Clock

MUTEC iCLOCKは豊富な入出力を持つクロックジェネレーターです。単独でTCXOマスタークロックとして使うこともできますが、現在は2重化したルビジウム発振10MHz入力をレファレンスとし、192kHz, 96kHz, 48kHz, 44kHzを生成するクロックシンセサイザーとして使っています。購入後2年を経過したロングランレポートです。

関連記事:
Antelope Isochrone 10M (ルビジウム発振機)
Antelope Isochrone Trinity (水晶発振クロックジェネレーター)
Master Clock Generator Shooy-out (クロックジェネレーターの比較試聴)

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INDEX

1. 仕様

1-1.TCXO
1-2.クロック入力
1-3.BNC出力
1-4.AES 出力 

2. 10MHz Rubidium redundant refrerence systemの設定
3. 使用感、音質など

3-1.使用感
3-2.クロックケーブル
3-3.音質

1. 仕様

1-1. TCXO

温度補償型水晶発振 (TCXO, temperature compensated crystal oscillator) のクロックジェネレーターです。同種のクロックジェネレーターに比べてもスペックはいいほうです。ビデオの同期機能も備えていますが、オーディオ機能だけ使っています。

Clock jitter: <6ps (p-p), <1ps (rms), measure bandwidth: 20.0Hz–100.0kHz
Clock accuracy (shipped): <±0.1ppm
Clock stability versus temperature: <±0.5ppm
Temperature range: –10°C to +60°C

Reference frequency synthesis: Direct Digital Synthesis (DDS), 172.8MHz internal clock rate,
48 bits frequency resolution. Varispeed synthesis: ±20% from nominal clock rate, 0.0001% (^=1ppm) lowest adjustable increment. Pull up/pull down synthesis: +0.1%, –0.1%, +4.166%, –4.0%

1-2.クロック入力

2つのBNC75Ω、1つのAES/EBUと3つの外部同期入力端子を備えているのが特徴で、8.0kHz から 24.576MHzまで 幅広いレンジを受け付けます。AES/EBUはAES3+11を受けますが、出力はAES11です。プログラム上で終端設定を行います。

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UNIVERSAL SYNC INPUTS

#Interfaces: 2× BNC female, unbalanced, isolated from earth, 200mV–5.0V, input impedance 75Ω (switchable)
#Word Clock, every audio clock rate from 8.0kHz to 24.576MHz incl.Word Clock × 256 for ProTools™ systems (superclock)
#AES/EBUid 3+11, S/PDIF, every audio clock rate from 32.0 kHz to 192.0 kHz
#GPS: 1.0MHz, 2.5MHz, 5.0 MHz, 10.0MHz;
#Telecom: 1.024MHz, 2.048MHz; DCF77: 77.5kHz

1-3. BNC出力

BNC 出力は周波数を個別に設定できるペアを4セット、8つのBNC端子を備えています。ペア単位で周波数設定ができるので、BNCだけで4種の異なる8.0kHz から 24.576MHzまでの ワードクロックを出力できます。ひとつの端子には3つまでの機器を接続できます。

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clock outの3番Bのホットが開いています。これはBNCオスのホットが曲がっていたのに気づかず無理に差し込んだためです。

 WORD CLOCK SYNC OUTPUTS

Interface: 8 × BNC female, unbalanced, individually buffered, adjustable in pairs
Output levels: 2.5V (p-p) @ 75Ω, output impedance 75Ω; 3.2V (p-p) @ 75Ω, output impedance 27Ω
Generated clock rates: Every audio clock rate from 8.0kHz to 24.576MHz incl.Word Clock × 256 for ProTools™, different DSD clock rates and film + video frame rates from 24Hz to 60Hz

1-4. AES 出力

AES/EBU11はペアで2つ、計4つの出力ができます。SPDIFはペアで1つです。AES3をスルーすることはできません。

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 AES/EBU11 SYNC OUTPUTS

Interface: 4 × XLR male, transformer balanced, 4.0V (p-p) @ 110Ω, output impedance 110Ω,
individually buffered, adjustable in pairs. Generated clock rates: Every audio clock rate from 16.0kHz to 192.0kHz

S/PDIF SYNC OUTPUTS

Interface: 2 × Coaxial (Cinch/RCA female), unbalanced, 0.5V (p-p) @ 75Ω, output impedance 75Ω, individually buffered, adjustable in pairs. Generated clock rates: Every audio clock rate from 16.0kHz to 192.0kHz

2. 10MHz Rubidium redundant reference systemの設定

2つのBNC入力を利用してredundant システムを構築することができます。ひとつが機能不全に陥ったときのフェイルオーバー機能です。レファレンス1が同期機能を失ったとき、レファレンス2に自動的に移行します。業務用らしい仕様です。またスイッチャーとしても利用でき、2つのレファレンスを瞬時に切り替え、比較することができます。

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2つのルビジウム発振器とiCLOCKは自作の19インチラックにまとめてマウントしています。 Rubidium1,2ともに10MHz 出力を使っています。iCLOCKで接続機器に適切なワードクロックを生成し分配しています。

Rubidium1に関する記事へのリンク
Rubidium2に関する記事へのリンク
自作19インチラックの記事へのリンク
tc electronic Digital Konnekt x32 に関する記事へのリンク
Lynx Studio Technology AURORA16に関する記事へのリンク
dbx DriveRack 4800に関する記事へのリンク
AVシステムブロックダイアグラムへのリンク

 iCLOCKのディスプレイは下のように2つの10MHz入力REF1,REF2でロックしている表示になります。REF3は設定していない状態です。CYCLESYNCがredundant機能を表しています。

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その他出力設定は多彩です。下の例はProToolsのsuperclock, DSD,DXDなどです。

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 3. 使用感、音質など

3-1.使用感 

取り扱い説明書など全て英文ですが、実際の操作はわかりやすく優秀なプログラムです。機能はとても充実していて、できない事はないほどです。特に各端子ペアに個別のワードクロック出力を設定できるので、例えば192kHzスレーブ機器と96kHz機器を分けてシンクする事も可能です。接続先の各機器のサンプリングレートコンバーターはケースバイケースで、試聴しながら必要に応じて適用します。この場合も元々のタイミングはルビジウムで統一できます。PCで44.1kHzWAV音源をそのまま再生する場合でも、本体ボタンで即座に全ての機器を44.1kHzに変更できます。

3-2.クロックケーブル

クロックケーブルは75Ωを使っていますが、110でも50でも動作します。色々試してみましたが、ロックしない同軸はほとんどありません。Apogee のWideEyeやベルデン、カナレの自作, MITSUBISHIのCX-1(ネット販売のみ), ZAOLLAの純銀線(ネット販売のみ), ワードクロック専用Monster cable など。現在は MITSUBISHIのCX-1(DUCC)を主に使っています。各デジタル機器のグループ化と、BNC Tコネクタを利用した結線法などいずれ別に投稿してみます。

3-3.音質

内臓TCXOの音質は良好でとりたてて不満は出ないと思います。しかし、10MHz入力を使うとはっきりとその違いがわかります。音場が広がりS/Nが良く、静寂の中に音像がクリアに定位します。埋もれていた余韻や反響が聞こえてきます。音の肌触り、きめ細やかさは内臓TCXOでは表現できないものです。デジタル機器の動作タイミングを正確に揃える事が如何に効果的かが改めてわかります。

またこのシステムだと2台のルビジウム発振器の個性も切り替えて楽しむことができます。特にノイズもなく瞬時に切り替わります。今回の設定ではRubidium1の方がRubidium2に比べて、きめ細やかな繊細な音がします。

 2年以上経過してディスプレイ液晶パネルがやや退色したくらいで、動作不良はありません。ニュートラルでいいデバイスだと思います。

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この記事は2010-05-27に更新しています。初稿に加えた重要な変更箇所は赤で記載。

4 Comments

    ルージュさんへ
    C2A Signatureとは希少な機種ですね。確かワードクロック入力のあるバージョンをどこかで見たような気がします。非常に高い周波数を受け付けるんですね。
    Isochrone 10Mと合わせ3つのルビジウムの音質比較は「Master Clock Generator Shoot-Out」を参照願います。Rubidium1「10MHz ルビジウム発振器」とほぼ同等でMUTECで切り替えても区別がつきません。機能的には問題ありません。ルビジウムの音はどれも似通っていて周波数確度、安定性、耐久性、維持保守の容易さなどの観点と感性で選んでもよいと思います。hook upは交渉しだいでデモ機を貸してくれると思うので、一度ご自宅で視聴してはいかがでしょうか。
    MUTECは何年前だったか忘れましたが、一度リコールが行われています。全ての固体が回収されています。ボードを取り替えたのかもしれません。本国サイトとやり取りもしてみましたが、ファームの書き換えもRS485からできるような返事をもらいながらその後放置しています。ただ私の使い方だと機能的には全く問題ないのでそのままにしています。VERSION2.00です。12.2と24.5MHzに関しては情報を持っていません。

  • monolithさん、こんばんは。
    ありがとうございます。
    メトロノームのC2A Signatureのワードクロックに
    MUTECのi-clockと同期して使っています。
    i-clockのGPS1の入力を使ってAntelopeのIsochrone 10Mを入れてみたいと
    思っていたのですが10Mが持っていませんので
    所有しておられますmonolithさんに確認させて頂きました。
    Rubidium1,2と比べてIsochrone 10Mの音質はどうでしょうか?

    また前にヒビノさんからi-clockの購入前にデモ機を借りた事があるのですが
    デモ機だとメトロノームと24.576MHzで同期が出来て音が出たのですが
    新品で購入したi-clockだと何故か24.576MHzに設定しても音が出ません。
    12.288MHzにすると同期して音が出ます。
    メトロノームのクロックは24.576MHzの筈なのですが何故なのか謎だったりします^^;
    デモ機のバージョンは2.11で購入したものは2.14でした。

  • ルージュさん、こんばんは。
    ルビジウム10MHzをGPS1に入れ、同期したMUTECから12.288MHz、24.576MHzともに出力できます。使ったことがないのでなんともいえませんが、そういう表示が可能なのでできると思います。
    ところでどういった状況でお使いでしょう?よろしければ教えてください。

  • はじめまして。
    MUTECとIsochrone10Mを所持しているようで質問なんですが
    MUTECのi-ClockのINPUT(GPS1)にIsochrone 10Mを入れて
    i-ClockのOUT(WCLK-S)から12.288MHz・24.576MHzのいづれかに設定して、
    ルビジウム出力する事が出来ますか?
    もし出来るようであれば検討したいと思っていますので分かりましたら教えて下さい。

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