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hardware review of home theater and self-made devices

720p時代のHTPC

以下は旧ホームページの内容を編集したものです。

720P時代のHTPC (2004~2006)

2004年から2006年頃までの間に当シアターで活躍したHTPCの概要をまとめました。時代の流れや技術の進歩は早く、いまや考え方もパーツも古いものとなってしまいましたが、その当時としてはパフォーマンスの高かった自作機です。

1.DVD再生機としてのPC
2.チラー冷却システム
   2-1. ケース
   2-2. 水冷
   2-3. 空冷
   2-4. 冷却システムのシェーマ
3.温度特性
4.PCパーツ設定一覧
5.オーディオシステム
6.1080p時代のHTPCへ 2009.9.27更新

1. DVD再生機としてのPC

PCで鑑賞するほうが画質も音質もよくDVD再生専用機をほとんど使わなかった時代です。再生ソフトウエアはWinDVD. 高画質化機能としてTrimensionDNMというソフトウエアの技術を持っていましたが、CPU負荷も大きく、高度な演算能力が要求されました。負荷軽減に有用なATIのUVDやNVIDIAのpurevideoなどビデオカードによるハードウエア動画再生支援が出てきた時期も重なります。PCの性能が要求されたので、発熱量が多いPen4時代のCPUを冷却してオーバークロックを試みています。DVDの480pをビデオカードや再生ソフトウエアの技術を利用して720pプロジェクターのドットバイドット表示にアップスケーリングして美しい映像を追及するプロセスがHTPCの醍醐味の一つでした。

音声出力はDTM用のサウンドカードを利用しています。業務用カードがほぼ全て光や同軸出力を持っていて、AC3出力に対応していました。主にRMEというドイツのメーカーが出していたHDSP9632というカードを使っていましたが、

AES規格でAccupheseVX700にAC3信号を入れていました。今でもESOTERIC UX-3を凌駕していた美しい映像と高品質なサウンドが鮮明に記憶に残っています。

しかしこれもBlu-rayが普及し始めると色あせます。Dolby TrueHDやDTS-HD master audio等のロスレス新規格音声が、非対応のHTPCを意味の無いものにしてしまいました。家電業界が策定した著作権保護規格であるHDCP対応のHDMI規格でしかロスレス音声はビットストリーム出力できません。業務用サウンドカードはHDMIに対応する可能性はありませんし、PCパーツ業界も対応が遅れています。

「720p時代のHTPC」では、Blu-ray, HDMI規格が普及する以前に作ったDVD再生用PCを紹介します。このHTPCは約2年間安定的に動作し、当シアターのメインマシンとして活躍しました。オーバークロックマシンとしての性格が強いモデルです。

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2. チラー冷却システム

空冷と水冷を併用したCPUを室温以下に維持できるハイブリッド冷却ケースです。目的は完全ファンレス化とオーバークロックでPCの機能を上げることでしたが、工作を重ねるごとに目的と手段が逆転。冷却システム改良に没頭してしまった観があります。某オーバークロッキングコンテストでCPU種別で1位をとったシステムです。

2-1. ケース

dvdpc1

ケースは自作でオーディオラックの棚に作りつけです。素材は3ミリアルミで一枚板からの切り出しです。左の写真は外観で、前面パネルを取り除いたものが右の写真です。右写真中央が本来のケースに該当し、マザーボードを収納しています。その右がドライブケース、その奥に電源ケース、マザーボードケース後ろにHDDドライブケースを配置しています。全て独立した自作アルミケースです。外箱内側には白い断熱材を張り込んでいます。後に記載しますが、室温以下の水冷と空冷による強制冷却にしているため、2重箱および断熱構造にしています。

dvdpc3

マザーボードケースの蓋です。3重構造になっていて外側からアルミ、磁気シールド板、銅で構成しています。溶接や複雑な曲げ加工は難しいので、直線的切断とアルミL型アングルを利用して、ステンレスボルトナットで固定しています。左に見えるダクトは強制空冷の冷気の入り口で、排気はカードスロット部です。(マザーボードケースの詳細へのリンク

2-2. 水冷

dvdpc4

ケースにマザーボードを実装している様子です。メンテナンスの為に水冷システムから切り離した状態です。水冷ヘッドはCPU, north bridge,  VGA, VRMへ装着しています。水流抵抗を軽減するため、収まりの付く最大の太いホースを使用しています。冷却液は蒸留水に専用のクーラントを配合しています。

dvdpc5

左は水冷の冷却エンジンです。1トンの水量でも0度近くまで冷却できます。海水観賞魚を趣味にしていたので、水槽用のチラー冷却装置をPCの循環水に応用したものです。冷却装置の左横は塩ビ管を利用した自作のリザーバーで、配管は断熱シートでカバーしています。右下はポンプ、右上は冷却中のPC内部です。室温より低いため外気と接触した瞬間結露します。

2-3.空冷

dvdpc7

水冷だけでは結露の危険性があるので空冷を併用しています。左から車載用のスポーツラジエター、パイプファン、右の二つはエアコンからの冷気取り入れ口です。空冷経路はアルミのダクトを使用しています。

dvdpc6

左は水冷ヘッドをつけたハードディスク(RAID10)、右は空冷のためのダクト接合部です。

dvdpc8

左は稼働中の水冷循環しているハードディスク、中央はサウスブリッジとサウンドカードの放熱フィン、右はビデオカードの水冷ヘッドです。

2-4.冷却システムのシェーマ

hths

冷却システムのシェーマです。半年以上にわたりデータを取りながら改良を繰り返しましたが、2005年7月の段階でほぼ開発終了です。非常に安定した冷却動作で、1年以上にわたる電源を切らない連続運転にも耐えています。
冷却水はリザーバーからポンプとクーラーを経由し冷却されます。その後VRM,CPUと最大の熱源を通り、Northchip, GPUからHDDに向かいます。電源を冷やした後、ラジエターを通ってリザーバーに戻ります。空冷経路はエアコンからマザーボ-ドケースと外箱に入り、後部から排気されます。

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3.温度特性

このPCがどういう特徴を持っているのか?それは、高負荷を与えてもCPU温度が自在にコントロールできるという点です。

graph-cooling

上のチャートは室温25度でのデータです。横軸が冷却水の設定温度、縦軸が各パーツの測定温度です。パーツによって違いはあるものの設定温度にリニアに追従します。たとえばCPU温度を15度に保ちたければ、冷却水温を12度に設定すればよいことになります。

chillercoolingshema

冷却機能を整理したシェーマです。横軸が自由に設定できるチラー冷却温度、縦軸が実測温度です。黄色がCPU温度の挙動を表しています。チラー設定温度で見てゆくと、6度以下ではPCが結露します。6度から35度まではCPUが9度から45度までほぼ線形に追従し、35度以上では空冷のほうが優勢で、チラークーラーのサーモスタットが入らず、CPU温度はプラトーに達します。6度と35度を境に結露相、チラー有効冷却相、空冷相に分かれます。 実際には、高負荷で連続運転する場合はチラー設定温度を10度前後、低負荷の場合は室温前後に設定するという使い方です。下の写真では冷却水は9度の設定で16度に保たれたCPUを4.5GHzにオーバークロックしています。11のポイントで温度モニターをしています。

dvdpc1overclock

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4.PCパーツ設定一覧

 

pcsetting

 

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5.オーディオシステム

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720p時代のオーディオシステムの概要です。JBL4343をマルチアンプドライブしています。時にステレオ音源を聞いていたので、アンプはピュアオーディオ時代のMcintoshやAccupheseなどを使っています。音のチューニングは測定器は使わず聴感でアナログチャンネルデバイダーdbx234XLを調整していました。名機MITSUBISHI DLP D2010で150インチサウンドスクリーンに投影していた時代です。2009.1.15

6.1080p時代のHTPCへ

2008年末、ASUSからHDMIでロスレス音声がビットストリーム出力できるサウンドカードが発売されました。ようやく基本性能が再生専用機に追いつきました。Pioneer BDP-LX80と比較できるレベルです。高性能のHTPCとしてはまだまだ工夫の余地がありますが、普通に使うサブ機としては十分です。関連記事はブログに掲載してゆきます。2009.1.24

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