AMCRON CTs 3000
マルチアンプで使われることの多い、中規模から大規模劇場用の代表的な業務用パワーアンプです。米国ではCROWNブランドで販売されています。当シアターではCTs3000 4台、CTs1200 4台の計8台稼動しています。
業務機らしく前面パネルにはモニター系のLEDがあります。中央には動作状態、温度警告、クリップ、シグナル、スタンバイ、電源ボタン部にはパワー、ブリッジ、データ(LAN)ランプです。
背面です。上部はモノ・ブリッジ切り替え、各チャンネルのレベルとハイパスフィルター、下は標準ユーロブロックバランス入力、右にねじ式スピーカー端子があります。
入力パネルは数種のオプションボードがあります。左はアナログバランス、右はネットワークコントロールを可能にするPIP-LITEです。信号入力はユーロブロックバランスで、LAN端子を備えています。
PIP-LITEを実装して信号ラインとethernet結線を行った様子です。この写真はセンタースピーカーの低域をドライブするアンプで、Lynx AURORA16のDAコンバーター出力からch1に入力しブリッジ仕様にしています。左の電源ケーブルはoyaideのTUNAMI、右のスピーカーケーブルはs/aLABの電源ケーブルの流用です。
8つのアンプはハブを経由してコントロールソフトウエアがインストールされたコントロールPCにLANでつながっています。右はオプションボードの結線で、二つのフラットケーブルで接続します。
コントロールソフトウエアのHiQnet System Architectです。フリーソフトウエアでダウンロードで入手します。ハーマングループの主要な機器のプログラムはあらかじめ用意されていて、通信設定を行い機器をインストールするとLAN上の機器がマウントされます。写真ではdbx DriveRack4800二台、AMCRONのパワーアンプCTsシリーズ8台、IT-4000が1台認識されています。定期的にアップデートされ、機能が追加されます。
マウントされた一つのアンプのコントロールタブを全て開いた場面です。ソースレベル、コンプレッサー、アウトプットリミッター、ロードモニター、サーマルリミッター、クリップエリミネーター、ラインボルテージモニター、サーマルエラー、クリップエラーなどを備えています。異常があるとPC上に警告が現れます。セットアップしてからの過去ログも保存さていて、動作の履歴も取れます。DSP以外の業務用の機能はフル装備です。System Architectはとても面白いソフトウエアで、また次の機会に詳述します。
スペックテーブルです。型番はブリッジの出力を表しています。
Minimum Guaranteed Power (20 Hz - 20 kHz) | CTs 1200 Power at 0.1% THD | CTs 3000 Power at 0.35% THD | |
2-ohm Dual (per ch.) | 250W | 1500W | |
4-ohm Dual (per ch.) | 600W | 1500W | |
8-ohm Dual (per ch.) | 600W | 1250W | |
16-ohm Dual (per ch.) | 300W | 625W | |
70V Dual (per ch.) | 600W | 1500W | |
100V Dual (per ch.) | 600W | 1500W | |
4-ohm Bridge | 500W | 3000W | |
8-ohm Bridge | 1200W | 3000W | |
16-ohm Bridge | 1200W | 2500W | |
100V Bridge | 1200W | 3000W | |
140V Bridge | 1200W | 3000W | |
200V Bridge | 1200W | 3000W |
Performance | CTs 1200 | CTs 3000 | |
Frequency Response (at 1 watt, 20 Hz - 20 kHz) | ± 0.25 dB | ||
Signal to Noise Ratio (ref. rated power, 20 Hz to 20 kHz, A-weighted) | < 105 dB | ||
Total Harmonic Distortion (THD) at full rated power, from 20 Hz to 20 kHz | < 0.1% | < 0.35% | |
Intermodulation Distortion (IMD) 60 Hz and 7 kHz at 4:1, from -40 dB to full rated power | < 0.1% | < 0.35% | |
Damping Factor: 10 Hz to 100 Hz | > 3000 | ||
Crosstalk (below rated power) 20 Hz to 1kHz | > 80 dB | ||
Common Mode Rejection (CMR) (20 Hz to 1 kHz, typical) | 50 dB | ||
DC Output Offset | < 2 mV | ||
Input Impedance nominally balanced, nominally unbalanced | 10 k ohms,5 k ohms | ||
Maximum Input Level:Before input compression/Absolute maximum | +20 dBu/+ 32 dBu | ||
Load Impedance (Note: Safe with all types of loads) Stereo Bridge Mono | 2, 4, 8, 16 ohms, 70V, and 100V 4, 8, 16, 100V, 140V and 200V | ||
Voltage Gain (at maximum level setting):8/4 Ohm Operation/26 dB/70V Operation/100V Operation | 50:1 (34 dB)/20:1 (26 dB)/50:1 (34 dB) /n/a | 71.4:1 (37 dB)/20:1 (26 dB)/50:1 (34 dB)/50:1 (34 dB) | |
Input Sensitivity:2/4/8 ohms/70V/100V /26 dB gain | 1.4V/1.4V/(n/a)/4 ohm: 2.46V./8 ohm: 3.47V | 1.4V/1.4V/2.0V/4 ohm: 3.88V./8 ohm: 5.01V | |
Required AC Mains (+15%, - 25%) | 120V/60 Hz, 230V/50 Hz | ||
Power Draw at Idle (120 VAC mains) | 24W (Standby Mode) | 35W (Standby Mode) | |
Overall Group Delay | < 120 usec | ||
Cooling | Continuously variable speed forced air, front-to-back airflow | ||
Dimensions:Width/Height/Depth | 19 in. (48.3 cm.)/3.5 in. (8.9 cm.)/14.25 in. (36.2 cm.) | ||
Net Weight/Shipping Weight | 23.4 lb (10.6 kg)/28.3 lb ( 12.8 kg) | 27.7 lb (12.6 kg)/32.7 lb (14.8 kg) |
CROWN website より
経験上、多数台運用する場合、民生用では稼働率が落ちます。これはとても安定していて安心できるアンプです。高出力と大きいダンピングファクターが目を引きます。電源電圧などセンサーも鋭敏。試しにクリップさせてみても、確実に回避動作し、ログも取れます。結構熱くなりますがK2ほどではありません。ファンは負荷に応じて動作します。80dB以上、90dB近くで連続入力すると動作します。しかし、今の環境では映画鑑賞中動作音は聞き取れません。
音質はリアリティー溢れる綺麗な音です。高域から低域までこれといった弱点はありませんが、中低域のキレと力強さは他を寄せ付けないものがあります。民生用海外製高級アンプなどと比較しても互角以上のパフォーマンスを感じます。
音声信号経路の詳細はAV SYSYTEM SUMMARY 参照
この記事は2010-01-31に更新しています。初稿に加えた重要な変更箇所は赤で記載。