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hardware review of home theater and self-made devices

JBL 3632-T

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 Please refer to an English page here for details of audio-visual system.

INDEX
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1. JBL Professional:3632-T
2. 音響調整
3. インストール
4. 吸音とチューニング
5. 音質
6.スペック
7.最後に

 

1. JBL Professional: Three-Way Tri-Amplified ScreenArray Cinema Loudspeaker System:3632-T

JBLにはプロオーディオとコンシューマー部門があります。馴染み深いのはコンシューマーで、入門実用機から趣味性の高い高級機まで豊富なラインアップを誇っています。ここで紹介するのはJBL professionalすなわちプロオーディオの製品で、ディーラーもコンシューマーとは異なります。型番は3632-T、中規模劇場用のスピーカーでサウンドスクリーンを使用することを前提にデザインされています(Stewart サウンドスクリーン)。米国の著名なLeonard H. Goldenson Theatreに装備されているのは同じシリーズで、そこでは毎年アカデミー賞授与式が行われています。高域、中域、低域の3ウエイで、それぞれにパワーアンプを使用するマルチアンプドライブ仕様です。サブウーファーは同じシネマシステムの4645Cを使っています。(AV システムのサマリー

クリックするとスライドショーが開きます。(マウスを右に置くと進む、左は戻る)

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左から高域ホーン、中域ダブルユニットホーン、低域ダブルユニットウーファーです。プリアンプから出た元の信号をプロセッサーdbx DriveRacck4800で高域、中域、低域に分けて出力し、別のパワーアンプでドライブします。

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ドライバーはねじ込み式2418H、ミッドバスと統合されたスピーカーターミナルはねじ式で確実なコンタクトがえられます。

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38センチダブルウーファーは単体では4639となっています。右の写真は上部3632M/HFユニットの4639への固定部で、左右に首振りが可能です。

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Smaart を使った音響測定

2.音響調整

コンシューマー製品の大半はニアフィールド、すなわちスピーカーからの直接音を聴く事が前提で作られていますが、プロオーディオ製品は音響までチューンすることが必要な製品が多く存在します。ホールや劇場など大きな空間の中で高い音圧で鳴らすために、反射や残響を無視できない状況で使われることが多いためです。3632-Tもニアフィールド用としては設計されてはいません。本体の設定に加え、室内の音響調整を行う必要があります。

3.インストール

従って通常のコンシューマーオーディオのスピーカーとはインストールの方法が違います。ユニットは全面バッフル仕様で造作することが前提です。置いてすぐに音が出る完成品のスピーカーというよりは、設備的にスクリーン裏の壁に開口部を持つユニットの集合体です。スピーカー後面からの音やスクリーンからの反射音が干渉しないようにバッフル後ろの空間は徹底的な吸音を施します。またスピーカーの前面もスクリーンからの反射音が反射しないよう吸音します。いわば規模の大きい壁面スピーカーの自作です。


4.吸音とチューニング

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バッフル面およびスピーカー前面、スピーカー裏の後壁には低域吸音特性の良いウレタン系素材を多用しています。後壁垂直面約25平方メートルには三層にわたって空気層を持った多重構造にしています。(シアタールームの設計

音響調整は測定調整共にPCのソフトウエアで実行。FFT音響測定ソフトウエアEAWの”SmaartV6″ で最終的には単体でほぼフラットな特性を得ています。測定系にはコンデンサーマイクEarthworks M30, オーディオインターフェースRME Fireface400を使用しています。コントロールソフトウエアはハーマングループのSystem Architectで、スピーカーマネージメントシステムdbx DriveRack4800を制御します。

Smaartで測定されたコヒーレンスプロット、特定の帯域のディップなど参考にしながらSystem Architectでフィルターをかけてゆきます。クロスオーバー等基本的なデータはメーカーサイトより3632用が用意されているので、該当VenueファイルをダウンロードしてSystemArchitect にロードしておきます。 これらソフトウエアには英文マニュアルしかなく、その量も膨大で読むのに数週かかります。続く実際の調整作業は更に輪をかけて時間と労力を要します。私の場合、吸音処理など平行してDIYで行った事もあり、最初の音が出たのはスピーカー搬入から約2ヶ月経ったあとです。この調整作業に関しては、また機会があれば別項を設けます。

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dbx professional DriveRack 4800. 4in 8out speaker management system. 本機を2台使用して各ユニットのバンドパス、pEQ、ディレイ調整を行う。コントロールソフトウエアはSystemArchitectでPCから本機の機能にフルアクセスが可能。チャンネルデバイダーの機能に加えFFTの測定結果を反映させての室内音響補正も行う。

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調整を終えたSystemArchitectの設定の一部です。これらの設定は当シアター固有の音響特性を反映したもので、環境によって全く異なる設定になります。上図は左チャンネルを示しています。まず大きくバンドパスフィルターで帯域分割し(右上)高域、中域、低域ドライバーにルーティングします。全てのアサインが終わったら(左上)、夫々の分割チャンネルの音響補正を行います。下段は左から低域、中域、高域の各種フィルターを示しています。高域はナチュラルにロールオフしますが、弱めのホーンEQでも十分な特性が得られます(右下)。

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最も難題の低域フィルターです。38センチダブルウーファーの設定です。上は左チャンネルの様子で、6つのフィルターをかけています。急峻なパラメトリックから緩いバンドパスまで様々なツールを駆使します。Smaartのコヒーレンスカーブを参考にしながら、ディレイやフィルターの設定周波数と種類、強度を調整します。マウスのドラッグでフィルターの形は自由に変わります。吸音材の設置の仕方や家具の配置などで微妙に違う結果になります.

SmaartのFFTに現れるピークやディップの周波数帯から距離を割り出し、問題の対象物の処理を行います。音響調整と平行して躯体や壁面、吸音材の調整など調音工事を行います。伝送特性を完全にフラットにする事は不可能なので、バランス重視で調整しています。ここに示したのは左チャンネルだけで、同じ調整をセンター、右チャンネルにも行い、更にサイド、バックのスピーカーもイコライジングします。サラウンドスピーカーはフルレンジなので、帯域分割は省きますが、フィルターはいくつか入れています。最後に複数のチャンネルから同時に音を出して測定し、仕上げにレファレンスディスクで聴感補正を施します。フルデジタルのフィルタリングで音質劣化は感じられません.

 

5.音質

さて音質です。台詞が圧巻です。中低域の芯と重量感、実在感が秀逸です。男優の声では風圧すら感じますが、誇張感はありません。音色的にミッドバスが効いています。高域は華麗とは言えませんが、素直に太い帯域が伸びています。調整されたマルチ3本と46センチウーファーの総合力はかつてのセットを音のリアリティーで完全に凌駕しています。音量ははてしなくどこまでも上がり、破綻しません。視聴位置で90dBを超えても音楽性を吟味できる音質です。通常の映画館のとは趣が異なり、クリアで圧迫感がありません。アンプにパワーと強大な制動力がないとこういう鳴り方は難しいかもしれません。中低域が異次元の鳴り方です。

6.スペック

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3632 spec sheet (pdf)

7.最後に

JBL 3632-Tは高度な調整を要求する業務用スピーカーです。置いただけででは音は出ず、自分で一から音作りが必要です。ある意味究極の自作スピーカーです。本来業務機ですが、調整次第でパーソナルユースとして使用しても高次元の再生環境が得られます。アマチュアとして前例の無い冒険を試み、全てが手探りで独学でしたが、かつて経験したコンシューマー機のレベルは凌駕しています。

このページはサーバーのPHPバージョン変更で消失したファイルを修復復元したものです。(2010.06.03)


この記事は2010-06-06に更新しています。初稿に加えた重要な変更箇所は赤で記載。

10 Comments

    高圧真空管 さん
    少しサイトを拝見させていただきましたが、和室が凄いことになってますね。オリジナリティーがあって楽しいシステムばかりです。これでステレオソースなんですね。これほどシアターユニットの経験がある方は滅多におられないように思います。中古では消耗したデバイスもあるでしょうね。
    スペースさえ確保出来れば、家庭での大型プロ機はコストパフォーマンスがとっても良いように思います。民生用の大型機にない余裕と柔軟性を持っています。なによりマルチは調整の楽しさがります。これらを日常80-90dB(SPL)くらいで聞いいていると、DD66000などが小音量で聴く小型システムに思えてしまいます。(趣味性は高く見栄えも高級で、小粒ですが音も良いです)

  • ウーファ3639は黒いコーンですが、型番違いの高耐入力の灰色のコーンのもありますね。
    私が手に入れたのは中古ですが、かえってエージングが済んでいるので良い買い物だったのかもしれません。
    消耗していないか心配ですが。笑
    今鳴らしているEVのウーファーシステムTL880Dは関西の映画館から出た物ですが、ユニットのEVX180Bに不良がありました。
    個人使用と違って映画館は酷使しますので悪くなる確立が高いですね。
    ユニットを全部入れ替えました。
    かえって新品より高くつきました。笑
    ご住所、了解です。

  • 高圧真空管さん
    3639は3632の専用の低域用として設定されたデュアルM115系と同じユニットが使われている単品ものですね。
    やはりシネマ用として活躍していたユニットでしたか。私は新品から導入しましたが、エージングで特性がどんどん変わってゆく傾向があるので、十分に安定したいい買い物だったかもしれません。
    私の所在地は、うーん、ちょっとした都合により..う~ん..日本の端っこ最果てのど田舎です。すんません。

  • 私の3632M/HF+ウーファ3639+ウーファ4645Bと、友達の4632M/HF+ウーファ4642Aは、関東方のシネマからの払い下げです。
    今まではJBLホーン2365+ドライバ2450を使っていましたが、これをチャンスにアレイに乗り換えました。
    近日中に鳴らしてみようと思っています。
    私は大阪で友達は高知です。
    monolith様はどちらですか??

  • 高圧真空管さん

    へ~。流行りなんですか?このシネマシリーズは特殊で(スクリーンチャンネル)、コンシューマでは一般的ではないと思っていました。ラインナップ的に46XXが47XXに置き換わる時期なのかな。
    とにかく調整次第で素晴らしい音がします。CE2000は使った事はありませんがこれも強大なパワーが入りますね。私の場合は(CTs)ダンピングファクターで選んだと記憶しています。いずれにせよ、Crown/Amcron系は家庭用としては、ファンの音さえ何とかなれば問題のない品質と思います。
    話は飛びますが、最近5674,5672,4732,4722と立て続けにセットアップしてみました。(注1) 自宅ではありませんが、まアどれもいい音がします。声域が他では真似できないような気がします。100dBでも聞けるところが美点です。とにかくお仲間に入れてもらえて光栄です。

    注1:インストール時のメモ(ついでで申し訳ないですが、ブログに単独記事として掲載する機会がなかったのでここに記しておきます。忘備録です。何れもフロントL.C.R 3セットです。)

    【JBL5674】297Hz/2.5kHzクロスの3way。注目はQuad2226HのLFユニット。CTs3000のマルチドライブで、スピード感のある超低域。中央右、前から2/3で調整。軸から3-4席離れるとModeも避けて絶品。

    【JBL5672】LFはdual2226Hである事が5674との違い。Subは4642Ax4。5674と似た構成だがエアボリュームの相違からセッティングが異なる。15インチが6発少ない。Mode以外の聴感上の違いが判れば達人域。

    【JBL4732T】3732のMFをスタックしたモデル。我が家の3632Tに比べると大口径のドライバ。音色は同じだがMF-HFが芯が太く朗々と鳴る。5674よりHFがやや伸びている。SW4642×2と組んだ至高のデジタルシアタートーン。

    【JBL4722】630Hzクロスの2Way。4739LFはdual265H,15インチ。HFは2432Hドライバに2384ホーン。耳心地の良いマルチ。素直な周波数特性。2wayは楽。但し小部屋の宿命、横方向の8340の調整は手を抜けない。

  • こんにちは。

    私は3632M/HF+ウーファ3639+ウーファ4645Bを2ペアです。
    今EVのドライバDH1A+ホーンHP9040+ウーファTL880Dを2ペアで鳴らしています。
    JBLの設定はスタートしたところです。
    同時にパワーアンプのクラウンCE2000も買いましたが、性能はどうなんでしょう?
    友達はアルテックA5を3セット売って、最近4632M/HF+ウーファ4642Aを買いましたよ。

  • 高圧真空管さん、こんにちは。
    うわ~~。はじめてです。3632を使われる方。日本にはいないと思っていました。うれしいです?!。3632は2wayのタイプでしょうか?当方のは3632Tで3wayです。
    新型の3731ですが、ピュアオーディオに使われている方がいらっしゃいます。Lancing Heritagetのフォーラムです。フランス人のハイエンドマニアです。
    http://www.audioheritage.org/vbulletin/showthread.php?28924-JBL-3731-and-McIntosh&s=ea2816c65698ff5afb617498b702b313
    アンプはマッキンなどのピュア用なので参考になるかもしれません。登録が必要ですが、このスレッドや他のフォーラムに私も少し書き込んでいます。

    ピュアで使うならバッフルは必ずしも必要ありません。音の方向性は若干違いますが、調整次第で民生用のハイエンドに引けも取らない非常にいい音がします。私はイコライジングでシアターチューンをしていますが、バッフルを使うとグンと音が前に出てくるので好んで使っています。バッフルなしだと、普通のピュアのようにスピーカー後方にも広大な音場が展開します。調整が難しくなりますが、更にスーパーツイターを加えると雰囲気が変わります。(私の場合2405などで試行して見ました)このスピーカーは本来劇場用ですので、どこまでもパワーを入れられるのが特徴です。

    ブログ拝見しました。凄いです。こちらこそ色々教えてください。

  • こんにちは。
    中古ですが3632を4本手に入れました。
    ウーファーはコーン紙が灰色ではなく黒の廉価なタイプです。
    サブウーハーは4645Bが4本です。
    私の場合はスクリーンではなくピュアオーディオ用です。
    バッフルが無いと駄目なんでしょうか。
    また色々教えて下さい。

  • Hello, MORATA
    Wlcome from France. Thanks for your comment on my article of JBL cinema system. I love JBL monitor and cinema systems for years. Especially management and tune of ones for pro-audio system is not so easy but exciting for me. “You ain’t heard nothin’ yet!”
    THANKS JBL

  • A very great sound system by JBL world leading factory.
    JBL has an unrivaled knowledge in audio pro, and particulary in cinema sound with more than 60 years of excellence and the 1st cinema sound sistem “JAZZ SINGER”
    THANKS JBL

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