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hardware review of home theater and self-made devices

Radeon, PS3 ビットストリームHD音声の出力検証

投稿要約
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Radeon HD5870と新型PS3(CECH-2000A)が、ソースのフォーマットに応じた適切なHD音声をHDMIビットストリーム出力できているかどうか、super HiVi CASTのチェックメニューで評価してみました。Blu-ray本編で採用の多いTrueHDやDTS-HD単独ではビットストリーム出力に問題ありませんが、primaryに加えsecondary音声が入ると、PS3は内部のデコーダーでdown mixを行い8ch PCMで出力します。Radeonはドライバーの問題からか、Dolby digital plusを出力できません。(初稿2009.12.29)

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更新情報(2010.1.12): ASUS Xonar HDAV1.3で同様の検証を行っています。本文中に以下のリンクを追加。
              ASUS Xonar HDAV1.3 Deluxe (Win7 x64) ロングランレポート
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1. 評価方法 

1-1. testA (secondary audio test)

1-1-1. Confirming decoding channnel test
1-1-2. Dolby Digital Plus test
1-1-3. Dolby TrueHD test

1-2. testB (primary truck bitstreaming test)
1-3. testC  (SMPTE remapping test)

1-4. 出力信号評価

2. 検証結果
3. 感想
4. 最後に
5. 関連情報

1. 評価方法

output007

テストに使った機器のブロックダイアグラムです。Pioneer をレファレンス機としてsuper HiViCASTのオーディオチェックメニューの一部を使い、PS3とRadeonのHD Audioの出力内容をDenon AVP-A1HDのHDMI情報表示で評価しています。AVP-A1HDのデコードモードはstandard, PS3の設定はHDMI出力でビットストリーム、Radeon のCatalyst は9.12Hotfix, PowerDVD9 Ultra build2320です。自作PCはHTPC v.911を使っています。シングルモニター環境で、スクリーンに投影しながらの検証です。

以下の 3つのカテゴリーで検証を行っています。super HiViCASTを使い慣れた方なら説明の必要はありません。直接2.検証結果に飛んでください。カテゴリーの名前は内容に応じてつけています。

1-1. testA (secondary audio test) はDD+やDTS Expressによるsecondary audioの入ったトラックの出力様式
1-2.  testB (primary bitstreaming test) はHD Audio単体トラックのビットストリーム出力
1-3. testC (remapping test) は7.1chスピーカー配置での配置外の想定領域に音源を持つ場合のdown mixとremappingを観ています。

1-1. testA (secondary audio test)

Secondary音声の入ったトラックでの出力テストです。Secondaryには190kbps程度の転送レートの低いDTS ExpressやDolby DIgital Plus(以下DD+)が入っています。primaryのフォーマットを正確に出力できているか、またプレーヤー内部のデコーダーのミックス回路が効いているかなどを評価できます。

output001

1-1-1. Confirming decoding channnel test (chap12-6): 

PCM, Dolby Digital Plus, DTS-HD High Resolutionでsecondaryに夫々DTS Express,DD+,DTS Expressが入ったトラックを再生し、①すべてがビットストリーム出力される、②プレーヤー内部でデコードされミックス回路で合成されたPCMとして出力される、③それが再びDDやDTSにエンコードされ出力されるかを判定します。

output002

1-1-2. Dolby Digital Plus test (chap36-6): 

Dolby Digital Plus出力信号の中にDD+のサイドとバックの4ch成分(DD+ dependent)が含まれているかチェックできるテストです。プレーヤーがDD+に対応していないと、コアのDD成分5.1chのみ(DD independent)が出力されます。

output003

1-1-3. Dolby TrueHD test (chap41-1):

48と96kHzの8ch,192kHzの6ch TrueHDを正しくビットストリーム出力できるかどうかを評価するテストです。これらは本来アンプ性能を評価するテストですが、ここで使用するAVアンプはHD音声を全て正しくデコードできるので、プレーヤーの評価手段として使っています。 

1-2. testB (primary truck bitstreaming test)

output004

LPCM, ロスレスTrueHD, DTS-HD Master Audio, ロッシーDoby Digital Plus, DTS-HD High Resolution Audioのみがprimary audioに収録されている音楽やトレーラーを再生し、出力信号を評価しています。

1-3. testC  (SMPTE remapping test)

output006output005

収録された各チャンネル音声が、ドルビープロロジックIIx環境でSMPTE配置された7.1chにどのように再配分されるかを知る事ができます。ドルビープロロジックIIzと同等のLVH(Left Vertical Height)とRVH(Right Vertical Height)の2つの高さチャンネルを加えた音源も含まれています。CVH(Center Vertical Hight)はセンターの上方に、TS(Top surround)はリスナー頭上に定位します。信号の内容と同時に聴感での音像の大きさと定位も評価できます。

1-4. 出力信号評価

各出力機器からのHDMIビットストリーム内に含まれる信号フォーマット、サンプリング周波数、チャンネルフォーマットはDenon AVP-A1HDのHDMI情報表示で確認しています。

output0041

上の写真は、DTS-HD Master Audioトレーラー再生中の写真です。プレーヤーからのHDMI信号は、DTS-HD Master Audio、96kHz、フロント3、サラウンド4、サブウーファー1chである事を示しています。

output0031

Radeonの出力様式はPowerDVDの情報表示でも確認できます。上の写真ではprimaryがDolby TrueHD5.1ch, secondaryがDolby digital plusの例で、ロスレスで出力されています。両者共にbitstreamで出力されAVアンプでデコードできます。しかしbitstream伝送できない場合、プレーヤー内でデコードされミックス回路を経由してPCMで出力されます。

 2. 検証結果

table11 
左の列がsuper HiVi CASTのメニューで、右にPioneer BDP-LX91, PS3, Radeonの結果を示しています。これらはAVP-A1HDの入力情報表示で、3/4/.1などは前述したAVP-A1HDで得られるチャンネルフォーマットです。青のセルがレファレンス機Pioneer BDP-LX91と同様の結果であった事を示し、緑と黄色のセルがそうでない事を示しています。TestCのリマッピング音像・定位は、RadeonのDD+を除き3機種ともほぼ同等です。TestA, Bは以下のような結果です。

青のセル
Pioneer BDP-LX-91の結果と同じデータは全て青にしています。すなわちこれが基準動作と判断しています。PS3もRadeonもおおむねPioneerの結果と一致しています。特にtestB, 一般的な映画本編の収録と同じ状況では、PS3もRadeonもすべてPioneerと同じ動作をしています。エンコードとデコード(アンプが認識するストリーム)のフォーマットが一致しています。

緑のセル
testAではPS3のPCM(mix)はPCMで再生され、かつmix回路が働いている状態です(緑のセルは全て同様)。すなわちプレーヤー内部でdown mixが行われています。しかも7チャンネルは8チャンネルに、3チャンネルは6チャンネルにとDSP処理が行われているようです。エンコードとデコードのフォーマットが一致していません。同じ条件でtestBではフォーマットが一致するので、これはsecondary 音声が入った時のみの動作のようです。

黄色のセル
RadeonのonlyDDはDolby Digital Plusの際に、コアのみデコードされている事を示しています(黄色のセルは全て同様)。また、レファレンスに比べサラウンドチャンネル数が少なくなっています。すなわちDD+に対応していません。これは海外でも指摘されていて、PowerDVDの表示はソースどおりなので、多分Radeonの問題です。

output0021 

3. 感想

ブルーレイで使われるHD Audioには、LPCM7.1ch, Dolby TrueHD, Dolby Digital Plus, DTS-HD Master Audio, DTS-HD High Resolutionの5つがあります。その中でTrueHDとDTS-HD Master Audioはよく使われるロスレス音声です。DD+とDTS-HD HRはロッシー規格です。このすべてが問題なくビットストリーム出力できてブルーレイトランスポートしては完璧です。

ちなみにPC用語としてのHD Audio(High Definition Audio)と呼び名は同一ですが、AV機器に使われるHD Audioとは異なるものです。参考: インテルが提唱したHigh Definition Audio(Wiki)

今回検証したPioneerを含む3つの機器は、通常の映画鑑賞上問題ない音声機能を備えているようです。TrueHDの場合、48,96 kHz の7.1chから規格上限の192kHz 5.1chまで出力できます。通常の映画ソフトを楽しむ上では今回の検証で得られた出力仕様の違いには気づかないかもしれません。

しかし、細かく見てゆくと、Secondary音声が含まれる場合にその挙動が異なります。PS3は内部のデコーダーでPCMにダウンミックスされます。RadeonはDD+がコアのみの出力になります。CatalystのDD+への対応が待たれます。

4. 最後に

音質については詳しく触れていませんが、どれも立派です。特にPS3のPCM ダウンミックスは見事です。またRadeon,PS3の操作の早さは圧倒的です。安定性ではPS3とPioneerはほぼ同格です。総じてPS3のバランスのよさが印象に残った検証でした。コストパフォーマンスも抜群で、知性も感じる恐ろしいゲーム機です。

PCパーツのAuzen X-Fi HomeTheater HDやASUS Xonar HDAV1.3 Deluxeも同等のHD Audio HDMIビットストリーム出力能力を持っていますが、今回と同じ検証を加えてみたところ、また違った動作をするようです。→ASUS Xonar HDAV1.3 Deluxe (Win7 x64) ロングランレポート。 特にAuzenはPCMを192kHzにアップサンプリングするという面白い動作をします。また映像に関してもベンチマーク上は夫々微妙に異なる仕様です。機会があればこれらについても投稿してみます。

出来る限り内容の正確性を期したつもりですが、如何せん専門的知識の無い趣味を楽しむアマチュアです。一部推測も交えていて、特にencodeやdecodeの解釈に誤っている部分があるかもしれません。また、結果の解釈に自信が持てない為、全てのテストで、Pioneer BDP-LX91をレファレンスとし、Pioneerと同じかどうかを判断基準にしています。明らかな誤りがあればご指摘いただければ幸いです。

5. 関連情報

ドルビーの再生用フォーマット技術概要 (Dolby公式サイト)
DTSフォーマット概説 (DTS公式サイト)
Super HiViCAST (Stereo Sound社公式サイト)
インテルのHigh Definition Audio(Intel公式サイト、英語)

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この記事は2010-01-13に更新しています。初稿に加えた重要な変更箇所は赤で記載。

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