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hardware review of home theater and self-made devices

スタック2Dプロジェクターの調整

   

Stack2D projection with dual DLA-HD750
- DIY for best installation -

   
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    Summary    
    I tried to build stack 2D system with DLA projectors by DIY. Ive ever also experienced DIY tuning of CRT projectors, SONY VPH-D50QJ and VPH-G70QJ. They need much works and furthermore difficult. Tough the tuning flexibility of fixed pixel is less than that of CRT, difficulty of tuning DLA stack is lower onerall, comparing CRTs.
In this article, wooden DIY mount and workaround for image distortion is described. The accuracy of the physical placement with two projectors is the most important matter. Moreover, it is a secret to the success to use the part of the lens with a little distortion.
   
    Key features    
    1. DIY wooden dual projector mount.
2. Decision of installation position by laser rangefinder.

3. Dual projectors, JVC DLA-HD750 hanging upside down.
4. The secret of tuning with two fixed pixel purojectors.
5. Test pattern of stack 2D.
   
       

スタック2Dの調整

 

INDEX

1.はじめに
2.設置台の改良と設置位置の変更
3.歪曲収差による映像のゆがみ
4.プロジェクター設置台の製作
5.設置台のスクリーンに対しての平行設置
6.プロジェクターの調整
7.2Dスタックでのシステムダイアグラム
8.実際の映像
9.最後に

 

1.はじめに

前回デュアルプロジェクター設置台の自作記事を掲載しましたがhttp://monolith-theater.net/hal/?p=12942、今回はその改良版で2Dスタックの仕上げを行ってみました。本稿では設置台の設計、設置と電子的調整法の概要をまとめています。

2Dスタックでは2台のプロジェクターの映像をぴったり合わせる必要があります。調整が適切ならば輝度やコントラストが上がり、高品質な2D映像が得られますが、2台の映像を完全に合わせるのは必ずしも容易ではありません。JVC DLA-HD750ではプロジェクター自体の調整機能が限られるので、可能な限り設置でカバーしています。

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上のシェーマはスタックで可能な投射パターンです。過去の記事「JVC DLA-X7/X3 プレビュー」http://monolith-theater.net/hal/?p=10421で紹介したものを再掲しています。今回は左のStack 2Dの調整法を記載しています。

 

2.設置台の改良と設置位置の変更

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デュアルプロジェクターマウント初作(2011-7-23)                     改良版(2011-8-26)**************        

左は前回「デュアルプロジェクター設置台の自作」http://monolith-theater.net/hal/?p=12942で掲載したもので、右が今回改良を加えた設置台です。前回は暫定の簡易設置でしたが、見るに耐える大まかな映像で妥協していました。その後どうしても2つの映像が正確に一致しないため、大幅な改造を行いました。上下に棚を追加し、全高200cm, 全幅80, 奥行60cmとかなり大きなタワー状の木工作品となっています。

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設置場所も変更しています。上の図はシアタールームの側面図ですが、黄色で示すロフト上のスクリーンから6.2m, 床高2.5mの場所から7m, 3.6mのより遠く高い場所に移しています。これはレンズの性能を考慮して行った変更です。以下に変更の根拠の詳細を示しますが、今回の改良の結果、現在では満足できる映像になっています。

 

3.歪曲収差による映像のゆがみ

 レンズが完璧でない限り歪曲収差(distortion)が発生します。プロジェクターの個体差もありますが、できる限り2台のプロジェクターの収差が出にくいような設置にしておく必要があります。

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上のシェーマにディストーションの分類を示しています。ズームを使用したり、レンズの周辺部を使うと起こりやすいゆがみのパターンです。高級なレンズほどディストーションは少なくなります。今回のDLA-HD750でよく見られたのはpincushionとMustacheおよびプリズム効果による色の滲み(chromatic aberration)です。二つのプロジェクターがまったく同様のディストーションを持っていれば簡単ですが、個体差があります。また2つのプロジェクターは上下に配置され、レンズに対して光束の通る位置が違うのでレンズが同じでも映像は違った特性になります。よって両者ともにできるだけゆがみの少ない状態で合わせる必要があります。

HD750はズーム側でpincushionが出やすい傾向があります。前回の設置ではこれがネックでした。映像右側に2つのプロジェクターで違うpincushionが出るので合わせ切れません。そこでズーム量を小さくし、レンズシフトは上下左右いっぱいに振ってみて、pincushionが最小になる位置でプロジェクターの位置を決めています。意外にもそれは中央より下振りした位置でした(天吊りなので通常では上振り)。従って前回の設置位置よりスクリーンに対する打ち込み角を大きく取るため、床高2.5mから3.6mとより高い位置に変更しています。

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HD750でのレンズシフトによる実際のpincushionの出方。レンズシフトを限界まで動かしてみて特性を確認した。
下振りするほど(黄色から赤)歪みが少なくなる。右のimage distortionはスクリーン投射映像の上端を示している。

更にズームを使って周辺部を含めた大きい範囲でレンズを使うのではなく、中心部の狭い範囲で投射するためには投射距離を大きくする必要があります。そのためスクリーンとの距離を6.2mから7mへと伸ばしています。

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スクリーンとの距離をとりズーム量を少なくするとレンズ中心部あるいは狭い範囲を使うことになり歪みが減少する。

またchromatic aberrationも見られましたが、これも2つのプロジェクターでわずかですが違いが見られました。視覚的には問題が少なく今回は特に調整していませんが、プロジェクター側に色別の画素修正メニューが備わっているのでこれで修正するのも可能かもしれません。

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Chromatic distortionの例。スタック調整中の映像。ひとつのプロジェクターに赤のにじみが目立つ。

 その他キーストーンやスキューゆがみはレンズによるゆがみというよりも本体とスクリーンの正対関係が影響します。これに関しては「5.設置台のスクリーンに対しての平行設置」に記載しています。

 

4.プロジェクター設置台の製作

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前回製作したプロジェクター設置台。剛性確保のため天吊り板は24ミリ合板に変更。移動運搬のためのステンレスハンドルを追加。

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打ち込み角を大きくするため3段構造に変更して高さを確保。下段と上段の棚を新たに追加製作した。材料はSPFと24ミリ合板、その他手持ちの端材を利用。固定はコーススレッド。最も留意した点は水平垂直を正確に出す事で、製作段階では水準器を使用している。写真左上段は3D用のAcer H5360。下段には200V-100VステップダウントランスCSE Isoration balanceformer TX-2000を設置し、プロジェクターの電源としている。右写真左上にOS製の3管天吊り用フレームが見える。

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上段と中段はクランプ固定、左2つの写真下に見えるのはパッシブ3D用の偏光板。

 

 5.設置台のスクリーンに対しての並行設置

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プロジェクターのレンズがスクリーンに対して正確に平行になっていないとキーストーン歪みが出ます。上の写真は設置台をスクリーンに正対させるための工夫です。アルミのチャンネルと2ミリ板を利用して距離計を作ってみました。両端にホルダーを作りレーザー距離計で距離を同じにすると設置台がスクリーンに正対します。プロジェクターは設置台に対して1ミリ以下の誤差で正確にインストールしているので、結果的にプロジェクターがスクリーンに正対することになります。

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レーザー距離計は一つしかないので片側ずつ計測します。日曜大工用です。スクリーンにレーザーの照射場所が表示されそこまでの距離を測ることになります。このアルミ距離計は調整が終わると撤去します。

スキュー歪みは設置台の作りが正確だと基本的に出ませんが、仮に出たとしても各プロジェクターの蝶ナットの調節で解消できます。参考:キーストーンとスキュー:http://monolith-theater.net/hal/?p=12942#sekkei

右下の写真は調整に使うオペラグラスです。プロジェクターのテストパターン表示時に二つのプロジェクターの映像が正確にあっているかどうか確認するときに使用します。7mも離れていると肉眼では細部の確認は容易ではありません。

 

6.プロジェクターの調整

さてようやくプロジェクターの調整です。まずはプロジェクター内臓のテストパターンで調整します。設置が適切ならば、調整量は少ないはずです。

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A                                                       B                                                    C                                                    D

まずは1台目のズーム、フォーカスとシフトの基本的調整を行います(A)。スクリーンに対して正確にテストパターンが入っている事を確認します。スキューやキーストーンゆがみはここで完全に取れるはずです。ここではスキューは天吊り板の蝶ナットで調整、横方向キーストーンは距離計で調整しています。縦方向のキーストーン歪みがが若干ありますが、ここでは補正をかけていません。A,B,Cはロフトから見下ろしして撮影しています。他は鑑賞位置からの撮影です。

1台目に続き2台目を重ねてみます(B)。シフト単独で合わない場合はズームを併用して少しずつ調整します。掲載した写真ではスクリーン上部と左側は合っているが(D)、中央から右下があっていない状態です。クロスハッチが2重になっています(E)。文字に前述したchromatic aberrationも出ています(E)。プロジェクターの前端がやや右に傾いている状態なので、2台目の右前の蝶ナットをわずかに締めて正確に合った様子が下の右3枚の写真です(F,G,H)。このようなケースの場合、プロジェクター上下調整はM5蝶ナットでは半回転以下、実質1ミリ以下と極わずかです。

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E                                                      F                                                      G                                                 H

なお以下のページで更に解説を加えています。
「Stack 5D dual projection system」4.デュアルプロジェクターの調整
http://monolith-theater.net/hal/?p=14993#dualPJ

 

 

7.2Dスタックでのシステムダイアグラム

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Blu-ray ソースはPioneer BDP-LX91, HDMIスプリッターはLancerlinkのHD-12V3 for3Dを使用しています。ケーブルはSupraとOyaideです。

 

 5.実際の映像

テストパターンや通常の映像では2つのプロジェクターはぴったり合っていますが、1台に比べると気持ち解像感が落ちた印象です。スクリーンに近接すると画素が認識できなくなっています。pixel by pixel で合ってない可能性がありますが、1 pixel以上はずれていない印象です。明るさともあいまってフイルムライクに見えます。

顕著なのは明るいということです。普段1台で見慣れている事もありますが、明るい部分は目の奥に刺激を感じるほど輝度が上がっています。調整しないとやや白がつぶれ気味かもしれません。黒側のコントラストは良好に保たれているので暗部の階調表現がすばらしく、暗い場面でも視野が開けています。色彩ではsaturationが高くまた鮮やかに感じます。色がこってり乗りますが、暗くないので透明感があり鮮やかです。

とにかくダイナミックで力強い動画です。よくあることですが機器を変えると今まで見た映画を見返したい気分になります。今回もその一つ。ここまで来るのに一苦労しましたが自分としてはとても満足です。最近調整も兼ねデュアルで鑑賞してきましたが、ここまでのqualityになると、もはやシングルに戻ることはないと思います。

下にブルーレイベンチマークによる評価映像と印象的なブルーレイタイトルの映像を掲載しています。特にラプンツエルの王冠は圧巻でした。宝石の輝きと透明感は実物のように感じました。なおこれらの写真のbarrelゆがみはカメラのレンズに起因しています。

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6.最後に

デュアルプロジェクターによる2D映像は今まで販売店のデモなどで何回か見たことがあります。その時は「明るいのは当然」くらいの感想であまり感動を覚えませんでしたが、自宅で鑑賞すると圧倒的な迫力があります。

一般的な固定画素のプロジェクターでは高級機でも調整項目が少ないのが残念です。3管では膨大な労力を要すものの調整項目が多く、起こりうる歪みの種類に応じた調整項目を備えています。今回の調整ではズームとシフト以外設置で対応するしかなく、その点制約があります。多分普通に棚に並べただけの調整環境では2つの映像を一致させることはできないように思います。

基本的な機能が問題なければ中古のプロジェクターで十分なので2年落ち3年落ちを使うと思うより安価に挑戦できます。調整後の2Dスタック、偏光板を追加した3Dパッシブシステムに関しては以下に掲載しています。

Project of Passive 3D with dual projector in home cinema
Part1: オークリーのRealD対応3D偏光メガネ (http://monolith-theater.net/hal/?p=13728)
Part2: DIY偏光3Dシルバースクリーン (http://monolith-theater.net/hal/?p=13847)
Part3: デュアルプロジェクター用偏光板(http://monolith-theater.net/hal/?p=13986)
Part4: QuadroによるDual Head Quad Buffered OpenGL Passive 3D(http://monolith-theater.net/hal/?p=14416)
Part5:Optoma 3D-XLを利用したパッシブ3D(http://monolith-theater.net/hal/?p=14833)
Part6: Stack 5D system, final thoughts (http://monolith-theater.net/hal/?p=14993)

 

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この記事は2012-05-23に更新しています。初稿に加えた重要な変更箇所は赤で記載。

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