アナログバランスケーブルの自作
久々にXLRバランスケーブルを自作してみました。線材はS/A LABのProfessional line 4.8、3芯シールド、XLRプラグはFURUTECHのFP-602です。製作に使用したBehringerのケーブルテスターCT100, 太陽電機産業のはんだごてPX-201(70W), ポータブル自動はんだ吸引機TP-100, 白光のヒーティングガンHAKKO 882も紹介します。
自作ケーブルはうまく作れば市販品と同等か、それ以上の性能を持ったものを比較的安価に作ることができます。ケーブルやプラグの組み合わせは自由です。また長さも状況に合わせ調節できます。しかし作ることの楽しみを味わえるのが最大の魅力です。
ステレオ2chのいわゆるピュアオーディオの頃は、高級海外製のケーブルなども使っていました。しかしDVDやblu-rayのマルチチャンネルに取り組みだしてからは、必要本数、長さ共に2chとは比較できないほど膨大になっています。既製品にはないものがほとんどなので、必然的に自作品が大半を占めています。技術や精度はそれなりでアマチュアの域を出ませんが、クオリティーには満足しています。
INDEX
1. FURUTECH FP602, S/A LAB Professional line 4.8
2. Behringer CT100: Microprocessor controlled 6 in 1 cable tester
3. 太陽電機産業のはんだごてPX-201(70W), ポータブル自動はんだ吸引機TP-100
4. 白光のヒーティングガンHAKKO 882
5. 最後に
1. FURUTECH FP602, S/A LAB Professional line 4.8
FURUTECHのXLRプラグ FP602はロジウムメッキ品です。ノイトリックに比べると作業性は劣りますが、半田付けは難しくありません。ただコードの付け根のブッシュはそのまま使うと耐久性がなく、自重によるわずかな曲がりでも1年余りでひびがはいるか、割れてしまいます。もとから補強を前提に作る仕様です。ここでは数種の熱収縮チューブを使って補強しています。スミチューブなどの滅収縮チューブはヒートガンを使うと効率的に綺麗に仕上がります。
はんだづけはいかに固定するかがミソです。万力が確実で便利です。ただしプラグの先をつぶさないようにゴムのカバーを造っています。1番グランドは芯線とシールドをまとめて結線しています。
ラインケーブルはS/A LABのProfessional line 4.8を使ってみました。現在ではモデルチェンジしている古いもので、ピュアオーディオの頃の使い回しです。主に業務用とで使われていたものです。FP602との組み合わせでは、高域から低域まで分析的で芯のある力強い音色です。この組み合わせは安心して使えるので常用しています。
2. Behringer CT100: Microprocessor controlled 6 in 1 cable tester
自作ケーブルはこれでテストしています。写真は結線が正確かどうか確認している様子です。最近作るものは2番ホットですが、以前ピュアオーディオ用に作っていた時は民生用の3番ホットが混在していました。Accupheseなどは3番ホットです。同時にたくさん作るとわからなくなるので機器に接続する前にこれで確認します。50本以上のバランスラインを使っているので重宝しています。
CT-100は非常に多機能で、フォーン、MIDI、同軸などのテスト、また+4, -10dBテストトーン発生機能も持っています。ドイツ製らしくしっかりとした作りで、ベルトクリップ付属のプロ現場に耐えるハードな仕様です。
3. 太陽電機産業 PX-201(70W), ポータブル自動はんだ吸引機TP-100
作業性を高めるには半田ごての選択も重要です。通常ホームセンターにおいてあるものは20-30wクラスですが、はんだやプラグ、線材、基盤によっては非常に時間がかかるものがあります。PX-201は250から450度まで温度可変で、とても使いやすく、短時間で作業できます。
XLRプラグではんだ付けしたものを新たに作り直す場合、古いはんだを取らなくてはいけません。自動はんだ吸引機TP-100は吸引穴の付いたコテ先を熱して古い半田を溶かし、グリップ部に内蔵された吸引モーターで吸い取る構造です。あっという間に古い半田がとれてしまいます。取れにくい場合は新しい半田を追加して、古いものもろとも吸引すると完全に除去できます。これを使うとプラグの使い回しが簡単です。今回のケーブル作りもコレを使っています。
4. 白光のヒーティングガンHAKKO 882
450度まで温度可変1000wの工業用熱風器 です。今回は熱収縮チューブに使いましたが、DIY用として様々なシーンで活躍しています。アクリル、塩ビ加工、塗装、接着剤のスポット乾燥、木材を含む素材の曲げ加工、シュリンク加工など汎用性の高い道具です。
5. 最後に
オーディオケーブル作りは単純ながらもとても楽しい作業です。便利グッズをそろえると短時間で更に綺麗に仕上がります。