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Theater Room
 
 専用のシアタールームを持つことが夢でした。幸運にもその機会がやってきました。なにしろ映画が好きで、暇があれば観ています。設計士と話し合い、何度も図面をかきなおす。そんな日々が一年以上続いて完成したのが現在のシアタールームです。予算の関係もあり、自分の理想とはだいぶ違ってしまいましたが、未完成である分、自分で作ってゆく楽しみがあります。そんな部屋を紹介します。

このページの内容とリンク
1.シアタールームの大きさ・スクリーンとスピーカー
2.遮音・吸音・照明・電源・ノイズ対策
 側壁音響拡散壁の製作 05.06.07 update
3.映像機器・二階席・映像配線・プロジェクター
4.音響機器・AVプルアンプ・チャンネルデバイダー・ケーブルの自作
05.04.27
5.AVシステム図05.04.17
6.センターチャンネルパワーアンプのブリッジ化05.04.17
7.センターウーファーを変更

  Cetec Gauss 5831とJBL375 05.06.01
8.プロジェクターのランプ交換 YAMAHA LPX-500 05.07.13
9.AMCRON I-T4000 パワーアンプ追加  05.08.06
10.フロントを3チャンネル5ウエイマルチドライブに変更  05.08.22

1.シアタールームの大きさ

 シアタールームを一から設計できる好条件に恵まれた。集合住宅の最上階だ。大きさは10*5*5mを確保。鉄筋コンクリートで約30畳。天井高を5m取った。天井の高い部屋は響きが自然だ。リビング兼用は考えず、映画を観るためのだけの部屋として設計した。
 スクリーンとスピーカー
 最もこだわったのがサウンドスクリーンである事と、スクリーンサイズ16:9の150インチ。鑑賞面はスクリーンだけにしたいので、小さな穴の開いたStewartのHD130sound screenを選んだ。映画館で使用されているものと同じだ。この背面にスピーカーを置いている。黒い布はスピーカのネットをロールで購入、加工した。古色蒼然としたJBL4343を改造し、センター・左右に置き、すべてマルチアンプドライブしている。サブウーファーはJBL46センチパッシブ2本。サウンドスクリーンは高域が若干減衰するが、マルチドライブなのでcrossoverで解消している。小さな穴がプロジェクターの走査周波数によっては干渉するといわれるが、いまのところ感じたことはない。サラウンドスピーカは6本使用。
正面スクリーン
        マウスを乗せると映写場面になります。実際の映像の写真です。
        こんな感じで視聴しています。スクリーンサイズは 3.3×1.8m. DVD-PC1で再生

2..遮音・吸音・照明・電源・ノイズ対策
 集合住宅の最上階なので床の遮音には気を使った。遮音性能はLL30 LH35を目標にした。床スラブ厚は45、更にその上にスタイロフォームを敷き詰め15厚のスラブを浮かした。フローリングは「かりん」をじか張り。かりんは硬く、共鳴しにくい。下層の階は自宅で、通常使わない緩衝帯にしてマージンを取っている。とにかく大音量で鳴らすのでココに一番気を使った。隣家の離れた一戸建てか地下室が理想だ。
防音ドアー室外から防音ドアの厚み



















   防音ドア
 
厚さ約7cm。スチール製で100kg以上ある。ハンドルを押し下げ、ロックすると、殆ど音が漏れない。ドア枠とドアはゴムのパッキンで接触し密封構造になっている。
防音内壁
吸音

 マルチチャンネル再生では吸音性能が重要。音質は内壁面の性状によるところが大きい。床以外は全面吸音面とした。90*180、6センチ圧の吸音パネルを特注し、更にそれを2重にして(計12センチ)壁・天井全面に貼り込んだ。色はつや消し漆黒。無響室のように静寂で、外から入るとキーンという耳鳴りがする。後から木材で反射面を自作した。吸音面を追加設定するのはとても難しい。構造に基づく非常に低い周波数の定在波が存在する。

照明

 商業用のダウンライトのみ。線を2本渡し、その間にハロゲン球を引っ掛ける特殊なタイプ。すべての照明は調光機をつけた。調光装置からのノイズを心配したが、問題なかった
スクリーン周り、側壁の音響拡散壁の製作。
Built in Reflection and Absorption Band Adjustable Diffuser
05.06.07掲載

スクリーン周りの音響拡散面。右がスクリーン方向。ガーデニング用のトレリスを利用して、ディフューザーを作成した。各々の正方形のトレリスはその向きを自由に変えることができる。右の写真では、左上の拡散板の向きを逆向きにしたところ。部屋の両サイドのこの高さまでの壁は、すべて自作した。その上から天井までは、建築時に、特注の吸音パネルを施工して頂いた。

 究極のデッドにするのも気が引けたので、音の反射・拡散面は自作した。木の鳴きを心配したが、固有の響きは特にないようだ。定在波の減弱にも役立っていると思う。拡散の度合いを調整できるので、結構楽しめる。聴感上、中高域の反射量が多いが、拡散板の向きを変えると高域も減衰する。データは取ってない。

 左の写真は、拡散板を一枚はずしたところ。4本のコーススレッドで固定しているだけなので、取り外しは簡単だ。奥には鉛入りの遮音シート、またその裏にはグラスウールの吸音材を敷き詰めた(右写真)。30畳の長軸方向10mの両サイド分なので、厖大な量の鉛シートと吸音材を購入した。製作は自分一人で、約1週間かかった。コンクリート面への固定は、木の荒材を大量に購入し下地固定枠を作成、コンクリートビスで固定し、そこにトレリスを固定している。軽鉄でないところもミソ。軽鉄は鳴く。

 壁面を構成する拡散板の更にその手前には、可動式の大型のトレリスを利用して、音質を調整できるようにした。二重の拡散板だ。これは、ふすまのように移動できる。裏には鉛遮音シートを貼って、防振している(右写真)。この拡散板の底面には、車輪を取り付けている。取り付けるためのくり貫きは、板が柔らかいのでそう難しくはない(下写真)。反射板の向きが違うものを2枚ずつ、計4枚作成した。これを適当に移動すると、音質が結構変化する。黒いカーテンで覆うと、この構造そのものも見えない。

 音をコントロールするという考え方は、建築関係者にはなかなか理解してもらえない。そこで、微妙なところは自分で作ろうと思った。結果が悪いことも想像できたが、作り直せばよいという気持ちで、思い切った。結果は想像以上に良かった。手を「パンッ」と叩いて残響を聞いても、反射音はほとんど聴こえない。

 単位面積当たりの経費は、それほど高価でもない。後から色々変更もできる。工作技術も高度なものは要求しない。ただ耐久性は考慮しないといけないので、一つ一つの工作は、確実・丁寧に行う必要がある。工作精度は誤差一ミリ未満。市販のトレリスそのものに、それほど精度がないので、カンナで成型している。

 5年経過したが、不具合は発生していない。震度6の地震にも耐えた。機能だけ考えれば、特にデメリットがないと思う。Built in Reflection and Absorption Band Adjustable Diffuserと命名した。
電源・ノイズ対策
 電源も後からの変更が難しいものの一つ。専用トランスを屋上に引き込むつもりでいたが、予算が合わない。しかたなく200ボルト60アンペアを映像用と音響用の2系統引き込んだ。アースは専用線を別途埋め込んでいる。室内配線は200ボルトで引き回し、機器直前で100ボルトに落としている。コードはブレーカからAETとS/ALABOを使用した。意外だったのがエレベーターからのノイズ。昇降するたびにスピーカーからキーンとかすかに音がする。原因がエレベーターである事に気づくのに相当時間を要した。製造会社と相談してエレベータ本体にフィルタをつけて頂いた。数十キロはあろうかと思われる立派なもので、これで解消した。
3.映像機器・二階席・映像配線・プロジェクター
二階席
  二階席
 部屋の後方にロフト風二階席を設けた。ここで鑑賞することは少ないが、
プロジェクターの設置位置が高いので、その調整を行うスペースとして便利。
プロジェクター天吊プロジェクター天吊ー下から
プロジェクター
 三管(SONY G70QJ)とDLP(MITSUBISHI D2010)を使用している。G70QJはOSscreenの天吊金具を建築時に設置した。三管の吊り上げは5人がかりで大事。レンズは床から4.5mくらい。打ち込み角は問題なかった。
 この三管は、以前は床置きにしていたもの。今回は天吊に変更した。電磁フォーカスなどレジ調整は自分で行った。天吊り金具や固定は頑丈だが、設置後3ヶ月も経つと、プロジェクターの自重で、物理的にレンズ位置がズレてくる。定期的に調整して、一年くらいで安定した。
 DLPは自作の木工で吊っている。写真の黒い木枠がそれ。ホームセンターでネジ棒を買って、木に穴あけすれば容易に設置できる。上のネジでプロジェクターの仰角や傾きを調整できる。レンズは床から3m。ほぼデフォルトでレンズシフトも不要の位置。(自作記事はこちら
映像配線

 映像ケーブルの取り回しも建築時に配慮した。後から変更が効くように、また邪魔にならないよう配線するのは難しい。配管すると見た目は良いが交換が難しくなるので、エキパンドメタルを特注してそれに沿って配線した。線材はカナレの7C同軸で計12本自作。距離は余裕を持ってそれぞれ10m。極太で取り回しに苦労した。またプラグの工作には専用の工具を購入。しかしその輝度は圧倒的。コントラストも良好だ。
 三管へのラインダブラー出力:RGBHV、コンポーネント、コンポジット、DLPのコンポーネントなどに使用している。
 PCのアナログRGBHVでも問題なく使用できる。しかし、PCによるDVD再生では、DVI接続(5m)で、DLPと直結している。DVI接続のほうが画質が良い。

4.音響機器
・AVプリアンプ・チャンネルデバイダー 
スクリーン裏にあるパワーアンプとスピーカー。
パワーアンプAMCRONK2とROTELRB1090
 
左右のJBL4343をドライブするパワーアンプ。低域はAMCRON K2, 中高域はROTEL RB1090, crossoverはdbx234XLを2wayで使用している。いずれもホームユースではマイナーなメーカー。ダンピングファクターが大きいものを選んだ。
パワーアンプMcintoshMC2255とAccupheseP-500  ここからはかなり古いモデル。センターはアキュフィーズP-500で2wayマルチドライブ(下)。 Crossoverはdbx234XL。サブウーファー2本をマッキントッシュMC2255(上)で鳴らしている。いずれも一度オーバーホールに出した。
 アンプは色々組み合わせを変えてみた。今の組み合わせで約一年経過している。とにかく、みな重い。
スクリーン裏  JBL4343とB460
 センタースピーカーJBL4343とアンプ。左下はCSEの電源。ここで200から100Vに落としている。スピーカエッジは2回張替え済。スピーカー周りにものを置かないほうが音がすっきりするが、置き場所がなく、やむなく周りにアンプを置いている。これらの機材はスクリーンで隠れる。年に一回、ユニットをはずしターミナルのメンテを行っている。JBLのアッテネーターはガリが出やすいので、分解して掃除する。内部配線やスピーカーターミナルは交換している。背面も全面吸音パネルを張り込んでいる。

 右チャンネルの4343とサブウーファー。46センチサブウーファーはB460。これは一度張替え。このウーファーの重低音はすさまじい。なかなか鳴りきるアンプがない。この組み合わせで4chマルチとしてステレオで使用していた時期もあった。現在は5.1チャンネルのサブウーファー出力として使用中。
 
AV プリアンプ
AccupheseVX-700 プリアンプはアキュフィーズVX700を使用。購入時の比較はクレルだったが、心地よい響きを持っていてこれも良かった。迷ったが、よりニュートラルなVX700を選択した。インターフェースは判りやすいほう。付属のマイクによるレベル補正は使用していない。聴感のほうがベターな調整ができる。オプションのVOX2もなかなか良かったが、DVI 入力がないのが惜しい。DVIはPC-プロジェクタ間直結の状態。
チャンネルデバイダー
dbx234XL dbx234XL.。5.1chのフロント3チャンネルは高域と低域の二つの周波数帯に分けてマルチアンプドライブにしている。したがってクロスオーバを3つ使っている。フロントだけでパワーアンプは6チャンネル分必要。
        
dbx234XLの設定
 
 クロスオーバーポイントはスピーカー特性に合わせる。スピーカーJBL4343は内部のデバイディングネットワークから外部クロスオーバーに切り替えが可能だ。その周波数は800Hz。したがって上のdbx234XLもその付近にクロスオーバーポイントを設定している。
 このクロスオーバーは作りと設計が質実剛健な印象。業務用なので接続端子はキャノンのみ。またすべてのチャンネルに二番ホットと三番ホットを切り替えるボタンがついている。コレが非常に使いやすい。使用しているパワーとプリアンプが二番と三番ホットが混在しているからだ。


ケーブルの自作 05.04.27

 プリとパワーの接続は大半がバランスケーブルだが、各10m以上になる。すべてS/ALabの業務用3芯シールドとFuruteckのキャノンコネクタで自作した。これらプリとパワーの間の信号コードは、接地したアルミのダクトを使用して自作した、シールド配管の中を通している。RCAはバンデンハルの2芯2重シールド、AES/EBUはS/ALabの3芯シールド、電源ケーブルはAETやロジウムメッキコンセントなどで自作。DVIはモンスターケーブルだが、電磁波シールドテープで加工している。スピーカーケーブルはS/ALabの電源ケーブルで、端子はオルトフォンのロジウムメッキを使用している。
5.AVシステム図 05.04.17更新
AVシステム図
6.Centerパワーアンプをブリッジ化 05.04.17更新

 Centerで使うアンプを高音域と低音域ともに変更した。高音域はAccupheseP500をbridge化し(1000W)、モノラルアンプとして使用。低音域はAmcronK2をbridgeとしてモノラル化 (1600W) した。以前はAccupheseP500の右を高音域、左を低音域としていた。

 台詞が別次元。喉の奥が見えそうだ。迫力が増し、劇場の音に近づいた。今まで聴こえなかった色んな音が聞こえる。特に中低域は、ダンプが効いて、スピード感がある。各々出力は倍以上になっている。音色は高域が支配して、Accupheseの音。しかし、マルチアンプでも、強力なドライブ能力を持つアンプに換えると、別物の音が出る。驚いた!
7.Cetec Gauss 5831とJBL375 05.06.01
 センターとして使用しているJBL4343の純正38cmウーファーから異音が出るようになった。大音量で聞いていたら、突然中低域がモゴモゴと聞こえるようになった。AmcronK2(BTL)の強大なパワーに耐えられなかったのか?とりあえず修理に出すことにして、ストックから引っ張り出したのがCetec Gauss 5831.

 よく思い出せないが、20年以上前のものではないか?確かアルニコ。ヒートシンクが巨大。米松のJBL4560Aに入れて、スピード感のある低音だったと思う。高域はJBL375ホーンだった。オーディオにドップリのめり込んでいた頃の遺産だ。二発眠っていたうちの一発。とても重い。4343のエンクロージャーにはぴったりはまる。端子を磨いて、クロスオーバーは800Hzあたりで設定した。スピーカーケーブルは、AET HIN AC TWINで、パワーアンプからバスレフダクトを通してユニットに直接繋いだ。聞いてみたがちゃんと音が出る。なかなかの低域。JBLより分厚く押し出しが強い。JBL純正よりもいいかもしれない。スピーカーユニットは、今も昔も大差ない。大事に取っておくと、いつか役に立つ。
これはGaussの高域として使っていたドライバJBL375、ホーンはH5039、音響レンズはL5090。懐かしい。ペアなので、一度シアターで使ってみたくなった。これも重い。20kg弱。すでにビンテージ物になりつつあるのか、現在でも物によっては40万以上の値を付けている。
8.プロジェクターのランプ交換 05.07.13
4000時間点灯したランプ

YAMAHA LPX-500のランプ交換を行った。今回で3回目。ランプ寿命は2000時間。今回は4106時間まで使った。真っ暗にしてようやく何が写っているかわかる程度にまで、光量が落ちていた。それにしても4000時間を越えて、まだ点灯しているのも珍しい。プロジェクターも換気をよくして冷やすと、ランプ寿命が延びるようだ。(水冷はできません(^^;)

 用途はテレビ用で、購入した。したがって長時間点灯している。購入は2002年7月。720p液晶で、800ANSI、コントラスト800:1。DVI端子まで付いている。D2010 (720p DLP HD2+) と比較すると、コントラストが決定的に劣る。しかし、地上波を150インチで観るには十分。ファロージャの特徴が出て、滑らかな動き。ハイビジョンは結構綺麗。動作音が静か。まだまだ使い続ける予定。
9.AMCRON I-T4000 パワーアンプ追加。 05.08.06
 ヒョンな事から、我が家へやってきた。別のものを購入するつもりでいたのだが......最近出た新製品。最新の劇場にはいくつか入ったと聞いたが、ホームユースで使用している方は、まだいないのではないかと思う。ハイパワー、ハイクオリティー。

 
スペック

 劇場やPA用途の業務用アンプ。4オームで2000ワットx2は、もう笑うしかない。8オームブリッジモノで、4000ワットに達する。ダンピングファクターは5000以上。

 DSP(24bit 96kHz)がビルトインされている。LAN端子が付いていて、PCでコントロールできる。コントロールソフトのディスクが同梱されている。入力はキャノンしか受け付けない。また、ダイレクトにAES/EBU(24Bit 32-96kHz)を受け付ける。

 スピコンを使えとばかりに、バインディングポストが小さく見える。電源は20A対応のIEC規格のインレット。100-240V対応、3ピン並行の平刃だ。これは、ホームユースでは一部の輸入品でのみに見るタイプ。付属の電源コードはC型で、一般家庭では使えない業務仕様。ファンは2つで、吸気は前面パネル。重量は12.7kgと軽い。

動作するまで

 まずは電源だ。シアタールームの電源ラインはは200Vで引き回しているが、まずは、100v動作を見てみることにした。IEC規格コネクタが見つかったので、電源コードは自作した。ケーブルはS/ALABHH3.5。

 次に入力ケーブルを作った。これは2番ホット。Accupheseのプリを使うので、3番ホットからXLRクロスケーブルを自作。長さ10mを2本。

 入力ケーブルと電源コードを繋いだら、イヨイヨ火を入れる。これだけのパワーが書かれていると、初回電源投入はコワイ。過去、輸入物の巨大なパワーアンプで、ほんとに火が出たことがあった。背面のブレーカを入れ、前面パネルの電子スイッチを入れ、目をつぶり、耳を塞いだ.....無事終了。

 ここで入力感度調整。業務用はこんなところが細かい。片チャンネルごとに、前面デジタルパネルを見ながら、入力感度調整を行う。説明書は英文だが、平易に書かれてある。プリのボリュームを上げて、音が出ることを確認した。

 ファンの動作は、自動制御で、冷えていると廻らない。音を出してから、しばらくして動作する。動作音は同社のMacro-Tec SeriesのMA-2402と比べれば、ないに等しい。しかも、サウンドスクリーンの後ろで使うので、スクリーンから6m離れた視聴位置では、ファン動作音は全く聞こえない。ファンがあると、熱を気にすることなく大音量が出せるので、安心でもある。



 2日間の印象。フルバンドもよいが、マルチドライブの低域(Gauss 5831x2)に入れると、本領を発揮した。クロスオーバー(dbx234XL)の設定は、AMCRON K2を使用していた時と変えてない。入力0dB、クロス800Hz、低域のgainは+1dB。

 2000ワット、ダンピングファクター5000の音は表現が難しい。かつて経験したことのない低域の振る舞い。部屋の隅々まで、あるいは体の中まで浸透する、芯があり切れのよい低域だ。それはあいまいさとは無縁で、始まりと終わりが明瞭。躯幹から頭部まで断続的に貫く。更に、中高域の音色まで変えるように感じる。マルチドライブの美点が前面に出た格好だ。

 250m3の、良く吸音された空間で、久々にクォリティーを伴ったオーバーパワーのマシンと出会った。色々遊べそうだ。

続く
10.フロントを3チャンネル5ウエイマルチドライブに変更  05.08.22
機器の変更

 フロントを3チャンネルマルチドライブに変更した。片チャンネルのユニットは計5個で5ウエイ。高域はスーパーツイーター、ホーン、ミッドバス(4343ネットワーク)、低域は38センチ、超低域は46センチウーファーのダイレクトドライブ。

 プリアンプからのフロント左右のキャノン出力を、チャンネルデバイダーdbx234XLで高域、低域、超低域に分けて、3つのステレオパワーアンプに入力した。フルバランス接続。パワーの高域はRotel RB1090,低域はAmcron I-T4000, 超低域はAmcronK2に入力した。強力な駆動力と制動力を持つパワーアンプ3つでマルチドライブすることになる。ぞれぞれマックスパワー、ダンピングファクター共に強力な数値を持っている。

 分割周波数は、800Hzと50Hz。以前は「サブウーファあり」の設定で46センチウーファーB460を設定していたが、これを「なし」とした。サブウーファ出力は、プリアンプで左右のフロントに振り分けられる。よってJBL4343の38センチウーファーとJBL460が、この帯域を再生する。

 以前B460に使用していたパワーアンプMcintosh MC2255は、サラウンドバックにまわし、JBL4312を駆動した。

変更後の音質

 DVDでDDやDTSを聴いてみた。サブウーファー設定をしていた以前のシステムに比べると、低域の出方が異なる。つながりのいい自然な低域。サブウーファ設定をしていたシステムでは、時に付け足しのような重低音が出ていたが、それが感じられない。低域が背景音となって、雰囲気を盛り上げる場面では、以前は気づかなかった分厚さを感じる。男性の台詞でさえ、ソファーのマットが共振する。また音場が広く感じられる。

 サブウーファーの音量設定はそう簡単ではない。フロント2チャンネルに振り分けると、その問題からも開放される。

 ステレオ2チャンネルソースをCDで聴いてみた。当然、中域から低域の分解能がよくなった。スケール感が出る。ゴリッとしたハガネのような低域だ。しかし若干、音像の定位が甘く大きい。また、分割周波数と出力強度の設定が気になる。泥沼にならないように、チャンネルデバイダー設定を固定した。
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